王様の耳はパンのミミ

伊藤なむあひの小説とか創作に関するあれです

キャラっていうのは

あまり信じていなくて、これまで自分が書いてきたもののなかに、いわゆる『キャラクター』と呼ばれるものはたぶん存在していない。キャラ造形なんてしたことがないし、服装はおろか顔形すら細かく考えたことがない。

 

なのだけど、いま書いている小説はもしかしたらキャラクターとやらが生まれるかもしれないと思っている。設定、というのも作らなくてはいけない気がしている。3人だけ生まれるかも。

 

やかましい音楽を聴きながら書いている。ざらついた質感だけを耳に残して通り過ぎていくような音だけ。それが合っている気がしている。

 

こういうことが初めてなので戸惑っている。町ができてきて、そこで何かが起こっている。それを記録する。ダブリナーズとはだいぶ違うけど。存在するものを書くのでなく、存在しないものを存在させるのでなく、存在したかもしれないものの残滓を書き残している。

 

疾走感と不穏さと狂気とあと美しさ。そういう曲を聴いてそういう小説を書きあげようとしている。理想の形になるかは分からない。

 

 

 

究極的に言えば

小説を書くっていうのはひとりで完結することができる。自分で書いて、自分で読んで、自分で楽しむ。昔バンドをやっていたとき、複数の人間が作曲に関わり、複数の人間が自分のパートを考え、複数の人間の時間を調整して複数の人間で演奏するのが苦痛だった。もちろん複数の人間がいることで生まれる楽しさもある。自分からじゃ出てこないフレーズや展開、音。

 

ひとりで作ることができる音楽もあるし、ひとりバンド(作曲とレコーディングにおいて)とうのもある。聴く分には断然バンドサウンドが好きだ。だけど合う合わないでいえばやっぱりどこまでもひとりで作るのが合っているんだと思う。編集者云々の話はこの際置いておいて。

 

本を読みました、本を買いました、小説好きです。だなんて感想をもらう機会があった。たまたまポジティヴな意見をもらったというのもあるし、面と向かってはなかなかネガティヴな意見を言わないというのもあるけど、ともかく嬉しかった。作者=自分がいて、作品があって、そこにさらに読者=他者がいるんだなって、当たり前なんだけどとてもすごいことだった。読者がいるのが当たり前という意味じゃなくて。

 

そういうことが自分に影響することがたぶんある。それを弱さと捉えるかは分からないけど、自分ひとりで作るのは前提として、プラス、なんだかそういうものがあるんだなってなんとなく思った。そしてそれは、他人にも伝えていきたいなって。

 

そういう話。

 

 

少女幻想譚 (隙間社電書)

少女幻想譚 (隙間社電書)

 

 



 

 

 

書くときに流す音楽

ってどうなんでしょ。いや少し前までは書いてるときはなにも聴かない派、というよりなにか聴いてるときは何も書けない派だったんだけど、ここのところ短い時間でしかもあまり静かでない場所で書くことばかりのためか音楽を流しながら書くようになってきた。

 

とはいっても日本語の歌詞が入っていたらアウトで、どうしてもインストか洋楽になってしまう。少し前まで書いていた『49パラグラフにも及ぶリロの素晴らしい人生』という小説ではMONO & World's End Girlfriendというバンドというか企画のインストをひたすら聴いてました。あ、『少年Aと少女Bの死体C』という短編を書いてるときもだ。

 

Palmless Prayer / Mass Murder Refrain

Palmless Prayer / Mass Murder Refrain

  • MONO & World's End Girlfriend
  • ロック
  • ¥1500

 

5曲しか入っていないんだけど74分あって、轟音アンド静謐っていう感じでとても集中できる。ボリュームを上げると周りの雑音から隔離される。で、新作でもこれにしようと思ったらどうもノリが違う。

 

今は『方舟事件(仮)』という小説を書いているんだけど、人生の中で絶対書くことないなと思っていたミステリっぽい感じになってきて、ヴァイオレンスが足りないなって。なので出たばかりのお賃金をつぎ込んで買っちゃった。

No Time to Bleed

No Time to Bleed

  • スーサイド・サイレンス
  • メタル
  • ¥1600

 

通常はこういううるさい系の曲って邪魔にならんだけど、彼らの曲はひたすらに音圧が流れてくる感じで不思議と執筆の邪魔にならない。

 

そんな感じで新作、プロットというか設計図はほとんど完成。ラストはあえて空白にしてるけど。ぜんぶびっちり決めちゃうとそこで満足しちゃって、あと書いてて面白くなくなっちゃう。今は手書きで設計図書いて、明日からはもう一冊ノート開いて二画面よろしく書いてく予定。

 

なんの話してたんだっけ。

 

 

SF雑誌オルタニア vol.2 [Locked]edited by Yoshie Yamada

SF雑誌オルタニア vol.2 [Locked]edited by Yoshie Yamada

  • 作者: 茶屋休石,進常椀富,波野發作,伊藤なむあひ,淡波亮作,米田淳一,山田佳江
  • 出版社/メーカー: 電子出版アシストセンター
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: Kindle
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

 

思考の構築

前に書いた小説を読み返して、自分はどういうつもりでそれを書いたんだろうと悩むことがよくある。今書いている連作もそうだ。

 

例えば『オルタニアvol.1 現実以外』の載せた『アルミ缶のうえに』。この前読んでみたら自分で驚く部分とか不明な部分が結構な箇所あって、どうしてこういうことが起こるのかを考えてみた。

 

普段の思考は1段目なんだと思う。それを地面(何も考えていない頭)の上にポン、と置く。いらなくなったらどかす。安定してそうならその上に次の思考を乗せる。バランスがあるので1段目より面積の狭いものを乗せる。1段目と2段目は凹凸みたいのでくっついてる。

 

そうやって塔みたいに段々と重ねていく。上に行けば行くほど、下がないと乗せられないなんかややこしい変な形のものが乗っていく。それはいきなり1段目に置いてもすぐ転がったりして安定しないものだ。

 

そうやって完成した塔は完成するが完成するとその塔は自分で崩す。次の塔を建てるのに邪魔だから。土地はそんなにないのだ。

 

しばらくして違う塔を使っているときにふと前の塔のかけらが目に入る。上の方の部分が地面に転がっている。変な形で、とても使い物にならないように見える。

 

多分そういうことなんだろうなって、頑張って考えてみたけど本当かどうかは知らない。

 

 

SF雑誌オルタニア vol.1 [現実以外]edited by Sukima-sha

SF雑誌オルタニア vol.1 [現実以外]edited by Sukima-sha

  • 作者: 大滝瓶太,米田淳一,ろす,淡波亮作,波野發作,伊藤なむあひ
  • 出版社/メーカー: 電子出版アシストセンター
  • 発売日: 2016/10/27
  • メディア: Kindle
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

いやすごいんですよ

なにがって、ここ2、3年で周りの人(といってもTwitter等で知り合った方とか)がどんどん新人賞受賞したら商業デビューしたり。

 

まあ理由は分かるんですよ。その辺の方々って文学フリマなり投稿サイトなりで作品を作り続けていた方々で、そしてさらに一作ごとに考えて、反省し、チャレンジを続けていた方々なんですよね。

 

もちろん、創作界隈(?)にはたくさんそういう方がいるんだけど、あ、なんか癖で敬語になってたから元に戻す、そういう人たちの中にも商業に行かない人もいるし結局その辺っていうのは進む方向性の話になるんだと思う。

 

素直に、すごい!おめでとう!という気持ちが8割。うわー、なんか焦るぅ!っていう気持ちが2割。自分はどうだろうって考えると、贅沢だから両方やってみたいし両方行き来したい。

 

行き来するには商業にも片足突っ込まないとなんだけど、今年と来年くらいは何度か公募にも出してみたいなーって。でもまあまずは書き上げてから考える。書きたいものがたくさんあって、その中には公募に出してみたいのもある。なんか、いま自分が書いてるものってどれくらいのものなんだろうっていう気持ちなんだと思う。

 

自分で連作でやっていきたいのもある。コラボ(?)して新機軸を打ち出したいのもある。やっぱり時間が足りない。でもその生活の中ではベストと思えるくらいには捧げている。と思う。結局は書きたいものを書く以外のことをする余裕なんてない。

 

いつ死んでもいいように生きるしかない。

 

 

少年幻想譚 (隙間社電書)

少年幻想譚 (隙間社電書)

 

 

 

今日はいつもと違って

多くの人間と話す感じの仕事なんだけどまあ疲れる。20分限りで入れ替わり立ち替わり違う人が来ていろんな話をする。100%の気持ちで聞かなくても疲労は蓄積されていま、建物内の人がない場所でひっそりと缶コーヒー片手に回復をはかってる。頭がいたいからだ。

 

宿野かほる『ルビンの壺が割れた』読了。

 

ルビンの壺が割れた《キャンペーン版》期間限定無料

ルビンの壺が割れた《キャンペーン版》期間限定無料

 

 

新潮社さんがバクチっぽい売り方をしていて気になったのでダウンロードして読んでみた。

《担当編集者からお願い》「すごい小説」刊行します。キャッチコピーを代わりに書いてください! 『ルビンの壺が割れた』 | 新潮社

感想は、うん、たぶん多くの人が思ったり買いたりしてるだろうからまあいっかな。

 

著者がもし新人の人だったら、今後これのイメージが付いて回るだろうからそれが気の毒かなあくらい。いや、気の毒というのは違うか。本人が選んだことかもしれないし。自分だったらいやだなあっていうだけ。別に面白くなくなかったです。

 

小説を書くときは読後、読んでくれた人に何か残るものが書きたいなって。あとは自分しか書けないものを書きたい。そうじゃない小説には意味がないすら思ってる。数年前にようやく実感として分かったけど人生はそこそこ長い。でも自分の最良のコンディションでなにかを作ることができる時間は短い。僕はその限られた時間に自分にしか書けないものを書きたい。

 

その時間はいつ終わるか分からないし、終わったらどうするのかはまだ決めていない。もしかしたらピアノでも始めるかも。ドラムもいいなあ。

 

 

 

少女幻想譚 (隙間社電書)

少女幻想譚 (隙間社電書)

 

 

 

 

新しいやつの

イデアを転がして膨らませてるんだけどようやく形になってきた。仮タイトルは『方舟事件』やってみたかったミステリの形をちょっと使わせてもらったやつになりそう。

 

たぶんだけど、町の少年少女が消えていって「方舟に乗ってきます」っていう書き置きが残されていて、みたいな。これまで買いたことがないタイプの話。

 

『オルタニアvol.1 現実以外』では真ん中の次女の話を、『牛モーテル本(仮)』では一番下の長男の話を、そして今回もそのきょうだいの話になるはず。舞台はいつものところ。

 

いつもよりエンタメ増量でお届けする予定。しっかしミステリって絶対書かないと思っていたけどミステリもどきを書こうとしてるんだから不思議。

 

SF雑誌オルタニア vol.1 [現実以外]edited by Sukima-sha

SF雑誌オルタニア vol.1 [現実以外]edited by Sukima-sha

  • 作者: 大滝瓶太,米田淳一,ろす,淡波亮作,波野發作,伊藤なむあひ
  • 出版社/メーカー: 電子出版アシストセンター
  • 発売日: 2016/10/27
  • メディア: Kindle
  • この商品を含むブログを見る